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東京地方裁判所 昭和53年(特わ)3102号 判決 1979年2月09日

被告人

本店所在地

東京都千代田区内神田二丁目一四番三号

トモヱ算盤株式会社

(右代表者代表取締役 藤本芳江)

本籍

東京都千代田区内神田二丁目一三番地五

住居

同都新宿区若葉一丁目一〇番地

職業

会社役員

藤本芳江

昭和六年九月一五日生

右両名に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官乙部二郎出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告会社トモヱ算盤株式会社を罰金一、〇〇〇万円に、被告人藤本芳江を懲役一〇月にそれぞれ処する。

被告人藤本芳江に対し、この裁判確定の日から二年間、右徴役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社は、東京都千代田区内神田二丁目一四番三号に本店を置き算盤の製造販売等を営業目的とする資本金一、〇〇〇万円の株式会社であり、被告人藤本芳江は、被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統轄しているものであるが、被告人藤本は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空仕入、架空外注費の計上及びたな卸の除外などをして簿外預金を蓄積するなどの方法により所得を秘匿したうえ、

第一、昭和五〇年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一五八、一四一、九三八円(別紙(一)修正損益計算書参照)あつたのにかかわらず、同五一年二月二八日、東京都千代田区神田錦町三丁目三番地所在の所轄神田税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一一〇、八五八、六二〇円でこれに対する法人税額が四一、六九〇、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により右被告会社の右事業年度の正規の法人税額六〇、六〇二、四〇〇円(別紙(三)税額計算書参照)と右申告税額との差額一八、九一二、一〇〇円を免れ

第二、昭和五一年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二〇一、七一四、九三七円(別紙(二)修正損益計算書参照)あつたのにかかわらず、同五二年二月二八日、前記神田税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一二一、一〇七、二八〇円でこれに対する法人税額が四四、八三〇、九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により右被告会社の右事業年度の正規の法人税額七六、六五〇、四〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)と右申告税額との差額三一、八一九、五〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示冒頭の事実及び全般にわたり(甲番号は検察官証拠請求甲一の番号を示す)

一、東京法務局登記官作成の被告会社の登記簿謄本(甲1)

一、同じく被告会社の各閉鎖登記簿(役員欄)謄本(二通)(甲2、3)

一、被告人藤本芳江の当公判廷における供述

一、同じく検察官に対する各供述調書(三通)

一、藤本勇治の検察官に対する供述調書(甲23)

一、阿部国夫の検察官に対する供述調書(甲24)

判事第一、第二各事実添付の別紙(一)、(二)修正損益計算書に掲げる各科目別当期増減金額欄記載の数類について

<期首商品・製品・材料各たな卸高、期末商品・製品・材料各たな卸高>

一、収税官吏古館成一作成のたな卸調査書(甲4)

一、同じく製品評価額(一丁当り)調査書(甲5)

<当期商品・材料各仕入高>

一、収税官吏古館成一作成の架空仕入(材料・商品)調査書(甲6)

<給料手当(昭和五〇年一二月期のみ)>

一、収税官吏古館成一作成の給料手当(石下工場退職金)調査書(甲7)

<外注工賃>

一、収税官吏古館成一作成の架空外注工賃調査書(甲8)

<広告宣伝費>

一、収税官吏古館成一作成の各広告宣伝費調査書(甲9、10)

一、同じく広告宣伝費(その他)調査書(甲11)

<租税公課>

一、収税官吏古館成一作成の貸付信託収益分配金調査書(甲12)

一、同じく貸付信託取扱期間分収益金調査書(甲13)

一、同じく仮払源泉税調査書(甲14)

<受取利息>

一、収税官吏古館成一作成の受取利息調査書(甲15)

一、同じく貸付信託収益分配金調査書(甲12)

一、同じく貸付信託取扱期間分収益金調査書(甲13)

一、同じく割引債券償還差益調査書(甲16)

<雑収入(昭和五一年一二月期のみ)>

一、収税官吏古館成一作成の雑収入(リベート)調査書(甲17)

<価格変動準備金戻入(昭和五一年一二月期のみ)・同繰入>

一、収税官吏古館成一作成の価格変動準備金調査書(甲18)

一、大蔵事務官河内孝誌作成の証明書(甲19)

<寄付金損金不算入額(昭和五〇年一二月期のみ)>

一、収税官吏古館成一作成の寄付金調査書(甲20)

<価格変動準備金の積立超過額>

一、大蔵事務官河内孝誌作成の証明書(甲19)

一、押収してある被告会社各期確定申告書各一袋(昭和五四年押第六五号符一、二)

<受取配当等の益金不算入(昭和五一年一二月期のみ)>

一、収税官吏古館成一作成の受取配当等の益金算入額調査書(甲21)

<価格変動準備金の積立超過額認容>

一、大蔵事務官河内孝誌作成の証明書(甲19)

一、収税官吏古館成一作成の価格変動準備金調査書(甲18)

一、前同被告会社各期確定申告書各一袋(前同押号符一、二)

<事業税認定損>

一、収税官吏古館成一作成の未納事業税調査書(甲22)

別紙(一)、(二)修正損益計算書に掲げた公表金額及び過少申告の事実について

一、被告会社の昭和五〇年一二月期及び昭和五一年一二月期各法人税確定申告書各一袋(前同押号符一、二)

(法令の適用)

被告会社につき

いずれも法人税法一五九条、一六四条一項。刑法四五条前段、四八条二項。

被告人につき

いずれも法人税法一五九条(いずれも懲役刑選択)。刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(判示第二の罪の刑に加重)、二五条一項。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 松澤智)

別紙(一) 修正損益計算書

トモヱ算盤株式会社

自 昭和50年1年1日

至 昭和50年12年31日

<省略>

<省略>

<省略>

別紙(二) 修正損益計算書

トモヱ算盤株式会社

自 昭和51年1月1日

至 昭和51年12月31日

<省略>

<省略>

<省略>

別紙(三) 税額計算書

トモエ算盤株式会社

自 昭和50年1月1日

至 昭和50年12月31日

事業年度分

<省略>

別紙(四) 税額計算書

トモヱ算盤株式会社

自 昭和51年1月1日

至 昭和51年12月31日

事業年度分

<省略>

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